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コラム2015.12.1

【コラム】金融所得課税の一体化

筆者:青柳 貴

金融所得課税の一体化を進める観点から、平成28年1月1日より公社債、公社債投資信託等が特定公社債等と一般公社債等に区分されるとともに、その課税方式が見直されることとなります。今回は、その課税方式の見直しの概要について解説します。

特定公社債等と一般公社債等の区分

  • 特定公社債等
    特定公社債等とは、特定公社債(下記参照)、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権で公募のものをいいます。

  • 一般公社債等
    特定公社債以外の公社債、私募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の私募投資信託の受益権及び特定目的信託の社債的受益権で私募のものをいいます。

利子所得等について

  • 平成27年12月31日まで
    国内において支払を受けるべき利子等については、源泉徴収のみで課税関係が完結する源泉分離課税により課税することとされています。
  • 平成28年1月1日以後
    特定公社債等の利子等については、源泉分離課税の対象から除外された上、原則的には申告分離課税の対象とされます。
    一般公社債等の利子等については、源泉分離課税が維持されます。

譲渡所得等について

  • 平成27年12月31日まで
    公社債、公社債投資信託等の譲渡益は非課税とされています。
    なお、償還差益については一部の割引債を除き雑所得の総合課税とされています。
  • 平成28年1月1日以後
    株式等に係る譲渡所得等の分離課税について、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に係る譲渡所得等を別々の分離課税制度とした上で、「特定公社債等及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税」と「一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税」に改組されます。
    したがって、特定公社債等、一般公社債等の譲渡をした場合には、その譲渡所得等については、それぞれ別々の申告分離課税の対象となります。
    なお、償還差益については、譲渡所得等に係る収入金額とみなし、償還差損については譲渡所得等から控除することが可能となります。

損益通算及び繰越控除

平成28年1月1日より損益通算及び繰越控除の対象となる上場株式等の範囲に特定公社債等が追加され、特定公社債等に係る譲渡損失と利子所得、上場株式等に係る譲渡所得等及び配当所得との間の損益通算を行うことが可能となるとともに、譲渡損失については3年間の繰越控除をすることが可能となります。

まとめ

おわりに

上記の課税方式の見直しにより、特定公社債等について特定口座での取扱いが可能となり、特定口座内で所得計算し源泉徴収が行われたものについては従前通り申告不要を選択することができます。既に所有している一定の公社債等についても、特定口座に受け入れることができますが、平成27年中に所定の手続きが必要となる場合がありますので注意が必要です。

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