筆者:佐々木 梨絵
令和5 年度税制改正では「相続時精算課税制度における110 万円基礎控除の新設」「相続税の課税価格に加算される贈与の期間が相続開始前3 年から7 年への延⾧」が盛り込まれました。今回の改正による相続税・贈与税の対策への影響は大きく、これまでの対策を見直す必要が出てきました。今回は令和5 年度税制改正を踏まえた今後の相続税対策について紹介します。
改正内容については1 月のニュースレターでもご紹介しましたが、ここであらためてご紹介いたします。
上記2③の改正で生前贈与による相続税対策が難しくなる方向性が示されたことで、オーソドックスな暦年贈与だけでなく様々な贈与税の非課税措置や特例を組み合わせて計画的に対策していくことの重要性が増すこととなりました。ここでは、相続税対策に活用できる制度について解説します。
今回新設された相続時精算課税制度における110 万円の基礎控除と暦年贈与における基礎控除110 万円は重複して適用が可能です。
例えば、相続時精算課税制度を選択した父からの110 万円贈与を受け、母から暦年課税贈与で110 万円の贈与を受けた場合には、合計220 万円が控除されます。
父が高齢で母が比較的若い場合などは、相続時精算課税制度と暦年課税贈与を組み合わせることで、相続税の節税効果が期待できます。
今回紹介した相続税対策の他にも、相続税の小規模宅地の特例や評価制度を活用した相続対策などがあります。
相続税対策は、個々の財産内容や家族構成、贈与者・受贈者の年齢などを整理して、それぞれに合った最適な相続対策を組み合わせて選択することが重要になります。