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コラム2019.3.1

【コラム】消費税増税後の請求書等保存方式

筆者:二本 なぎさ

はじめに

2019 年10 月より消費税増税が実施されると同時に、仕入控除の要件である帳簿及び請求書等の保存方式が変更されます。さらに2023 年10 月以降はインボイス制度が導入される予定となっております。

区分記載請求書等保存方式

2019 年10 月1 日よりインボイス制度が導入されるまでの4 年間、仕入税額控除の要件である帳簿及び請求書等の保存につき、現在の請求書等保存方式から区分記載請求書等保存方式に変更され、帳簿や請求書等への記載事項が追加されます。


帳簿への記載ですが、軽減対象資産の譲渡等については対象品目である旨を記載する方法の他、税率区分欄を設け、「8%」と記載する方法や税率コードを記載する方法も認められます。

請求書等への記載ですが、受領した請求書等に上記⑥⑦の記載がない場合は、交付を受けた事業者側で追記も可能とされています。軽減税率導入後しばらくは、売り手側で税率別区分をしていない従来型の請求書等が交付されることも多いと推測されます。また、売り手が免税事業者の場合は請求書等の記載が税率事に区分されているとは限りません。そのようなケースであっても、買い手側で仕入税額控除を可能するための措置となります。

なお、取引金額が3 万円未満の場合や請求書の交付を受けることが困難な場合(自販機による購入等)など帳簿の保存だけで仕入税額控除が可能なケースは現行制度から変更ありません。

適格請求書等保存方式(インボイス方式)

2023 年10 月1 日以降は、適格請求書等保存方式いわゆるインボイス制度が始まります。この方式のもとでは帳簿の他、適格請求書発行事業者が発行した適格請求書又は適格簡易請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。
適格請求書等には新たに適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、税率ごとに合計した消費税額の追加記載が求められます。

ただし、電車、バス等の公共交通機関の運賃で3 万円未満のものや自動販売機等による販売で3 万円未満のものなど、事業の性質上、適格請求書の交付が困難と考えられるものについては、交付義務が免除されます。

なお、取引金額が3万円未満の場合や請求書の交付を受けることが困難な場合において、請求書等の保存がなくて仕入税額控除が可能となる現行制度は、インボイス制度導入後においては廃止となります。帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるのは、上記の適格請求書交付義務が免除される取引の場合や適格請求書の記載事項が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引の場合等、一定の場合に限定されることとなります。

消費税増税に向けたシステム対応

軽減税率及びインボイス制度導入後は、請求書や領収書等に記載すべき項目が変更されるため、販売管理システムやレジシステムの改修が必要になります。

システム改修が、ソフトウェアの機能追加や、機能向上等に該当する場合には、改修費用は原則として資本的支出として取り扱われますが、軽減税率やインボイス制度導入に伴い、税率ごとの商品管理や適正な納税額の計算を行うために、システムの改修を行う場合には、修繕費として取り扱うことができることとされています。ただし、改修の範囲が、軽減税率及びインボイス制度導入に対応する目的であるものに限定されていることが、作業指図書等で明確にされている必要があります。

また、中小企業・小規模事業者等が、複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修等を行う際、その経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」の制度があります。補助対象期間は2019 年9 月30 日まで、補助金交付申請受付期間は2019 年12 月16 日までとなります。

おわりに

2度にわたり先送りとされてきた消費税増税もいよいよ目前に迫って参りました。お早目のご対応をお勧めします。

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