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コラム2018.7.1

【コラム】税務手続の電子化

筆者:八木 優佳

はじめに

平成30 年度税制改正により、大法人の法人税等の電子申告が義務化されることとなりました。その背景には、経済社会のICT 化や働き方の多様化が進展する中で、税務手続においても、ICTの活用を推進しようという狙いがあります。

電子申告の義務化

  • 平成32 年4 月1 日以後に開始する事業年度から、資本金が1億円超の内国法人の確定申告書の提出については、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax、eLTAX)による提供が義務化されます。添付書類の提出についてもe-Tax 等による提供をしなければなりません。
  • 電子申告しない場合には無申告となりますが、期限内に申告書の主要な部分が電子的に提出されていれば無申告加算税は課されません。
  • 災害等の理由がある場合には、納税地の所轄税務署長の承認を受けて書面により提出することができます。

法人税における申告手続の簡素化

電子申告の義務化に合わせて、法人税において、次のような申告手続の簡素化というメリットが設けられました。平成32 年4 月1 日以後に開始する事業年度から適用されます。

(1)申告手続の簡素化

  • 別表、財務諸表等に係るデータ形式については、一部書類に限り、例外的にCSV 形式やPDFデータで提出が可能となります。
  • 勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化により作成の負担が軽減されます。


(2)署名等
申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度が廃止されます。

(3)連結納税
個別帰属額届出書の連結親法人による電子的な一括提出が可能となります。

電子化推進のための環境整備

(1)年末調整の手続の簡素化
年末調整手続を電子化するための法令の整備が行われます。具体的には、平成32 年10 月1日以降に雇用主に提出する保険料控除申告書及び住宅ローン控除証明書について、電磁的方法による提出が可能となりました。

(2)支払調書のe-Tax 等の提出基準の強化
平成33 年1 月1 日以降に提出する支払調書について、e-Tax 等の提出義務の判定基準となる支払調書等の枚数が1,000 枚以上から100 枚以上に引き下げとなりました。

電子納税の仕組の整備

(1)改正前の内容
電子納税とは、事前に届出を行うことによって、納税手続をインターネット経由で電子的方式で行うことです。方法としては、ダイレクト納付やインターネットバンキング納付などがあります。金融機関の場所や受付時間等の制約がないというメリットがあります。

(2)税制改正による主な変更点

  • 国税
    平成31 年1 月4 日以降に行う納税手続について、自宅等において納付に必要な情報(いわゆる「QR コード」)を出力することによりコンビニ納付を行うことが可能となりました。
  • 地方税
    地方税について、eLTAX の運営主体が運営する共通電子納税システムが導入されます。これにより、今まで電子納税の対象外だった地方公共団体(市町村)に対しても、電子納税をすることが可能となりました。導入予定時期は、平成31 年10 月1 日です。

おわりに

申告書の電子化は、導入時の企業にとっては、負担になるかもしれません。一方で、地方税の共通電子納税システムの導入により、全ての地方公共団体に電子納税をすることが可能となりました。電子納税は義務ではありませんが、税務手続きを電子化することで従業員の事務作業が効率化することが期待されます。

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