筆者:八木 優佳
平成30 年度税制改正により、大法人の法人税等の電子申告が義務化されることとなりました。その背景には、経済社会のICT 化や働き方の多様化が進展する中で、税務手続においても、ICTの活用を推進しようという狙いがあります。
電子申告の義務化に合わせて、法人税において、次のような申告手続の簡素化というメリットが設けられました。平成32 年4 月1 日以後に開始する事業年度から適用されます。
(1)申告手続の簡素化
(2)署名等
申告書における代表者及び経理責任者等の自署押印制度が廃止されます。
(3)連結納税
個別帰属額届出書の連結親法人による電子的な一括提出が可能となります。
(1)年末調整の手続の簡素化
年末調整手続を電子化するための法令の整備が行われます。具体的には、平成32 年10 月1日以降に雇用主に提出する保険料控除申告書及び住宅ローン控除証明書について、電磁的方法による提出が可能となりました。
(2)支払調書のe-Tax 等の提出基準の強化
平成33 年1 月1 日以降に提出する支払調書について、e-Tax 等の提出義務の判定基準となる支払調書等の枚数が1,000 枚以上から100 枚以上に引き下げとなりました。
(1)改正前の内容
電子納税とは、事前に届出を行うことによって、納税手続をインターネット経由で電子的方式で行うことです。方法としては、ダイレクト納付やインターネットバンキング納付などがあります。金融機関の場所や受付時間等の制約がないというメリットがあります。
(2)税制改正による主な変更点
申告書の電子化は、導入時の企業にとっては、負担になるかもしれません。一方で、地方税の共通電子納税システムの導入により、全ての地方公共団体に電子納税をすることが可能となりました。電子納税は義務ではありませんが、税務手続きを電子化することで従業員の事務作業が効率化することが期待されます。