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コラム2017.3.1

【コラム】NISA制度の見直し

筆者:児島

はじめに

平成28 年12 月22 日に閣議決定された「平成29 年度税制改正の大綱」において、現行のNISA(少額投資非課税制度)に加え、新たに積立NISA が創設されることとなりました。
現行のNISA は、20 歳以上の居住者等を対象として、非課税口座で取得した上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が非課税になる制度です。非課税となる投資総額は最大600万円(年間120万円×非課税保有期間5 年)で、投資可能期間は35 年までとなっております。
しかし現行のNISA 制度は、非課税保有期間が5 年と短く、積立型の投資に利用しにくいことから、家計の安定的な資産形成を支援するという本来のNISA 制度の趣旨と矛盾が生じておりました。
そこで今回の大綱において、少額からの積立・分散投資を促進する制度として積立NISAが新たに創設されます。

積立NISA の概要

積立NISA は、長期的な投資を促進するための制度であるため、現行のNISA よりも年間投資上限額は40 万円と少ないものの、非課税保有期間は20 年と長く、投資総額は最大800 万円となります。
投資対象商品については、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託とされており、具体的には信託期間が無期限又は20 年以上であること、また毎月分配型でないこと等という制約があります。
また投資方法については、契約に基づく定期かつ継続的な方法による買い付けにより行われなければなりません。

現行NISA との比較

積立NISA は、長期的な投資を目的としていることから、現行NISA と比べ、年間投資上限額や、非課税期間など、下図表のような違いがあります。



また、現行NISA と積立NISA は選択して適用できるとされております。
よって、これまで現行NISA を適用していた場合でも、中途で積立NISA に変更することが可能ですが、同一年度において現行NISA と積立NISA を併用することはできません。

現行NISA の見直し

現行のNISA についても、その使い勝手を改善するための方策として、非課税保有期間(5 年)の終了時の投資枠の移管、いわゆるロールオーバーの上限額が撤廃されることとなりました。
従前では、非課税保有期間(5 年)が終了した際には、原則的には課税口座に払い出すか、120万円を上限に他の年分の投資枠に移管(ロールオーバー)する方法しかありませんでした。
しかし、平成29 年度税制改正により、他の年分へロールオーバーできる上限額が撤廃されることとなり、現行NISA の長期運用を行いやすくなります。

おわりに

積立NISA の導入により、以前より長期的な投資を行いやすくなりますが、税制改正大綱では、その対象商品が一定の投資信託に限定されており、現行のNISA と比べ、株式投資を行えない点では、その運用手段は限定的と言わざるを得ません。
積立NISA の対象商品の要件については引き続き検討が進められることとされておりますので、今後の動向が注目されます。

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