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コラム2015.6.1

【コラム】マイナンバー制度について

筆者:大津留

平成27年10月から、マイナンバー(個人番号)が通知されます。続いて平成28年1月から、個人番号カードの申請・交付が行われ、行政手続で利用が開始されます。
今回はマイナンバー制度について解説致します。

マイナンバー制度の概要と導入目的

マイナンバーとは、住民票を有する全ての個人に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が、同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
マイナンバー制度の導入に伴い、期待される効果として主に下記の3つが上げられます。

  • 公平・公正な社会実現
    所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、税負担を不当に免れることや、給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細やかな支援を行えるようになります。
  • 行政の効率化
    行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。
  • 国民の利便性の向上
    添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ることができるようになります。

税務手続に与える影響

平成28年1月以降の金銭等の支払に係る調書等から、従業員等及び支払先のマイナンバーを記載する必要があります。

  • 従業員等のマイナンバーを記載する書類
    従業員等のマイナンバーを記載する税務関係書類は、主に下記の9つが上げられます。
    ■給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
    ■給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書
    ■従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
    ■給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
    ■退職所得の受給に関する申告書
    ■給与所得の源泉徴収票
    ■退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
    ■退職手当金等受給者別支払調書
    ■給与支払報告書

  • 支払先のマイナンバーを記載する書類
    支払先のマイナンバーを記載する税務関係書類は、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書などの法定調書が上げられます。
  • 個人の申告手続の簡素化
    従来は、確定申告時において住宅ローン控除等の特例措置の適用を受ける場合は、住民票の写し等の添付が必要でした。
    マイナンバー制度の導入により、行政機関の間での情報共有が可能となり、住民票の写し等の添付が省略されます。
  • 源泉徴収票・給与支払報告書の一元提出
    従来は、給与・年金の源泉徴収票・支払報告書の電子的提出は、電子申告・納税システム(e-Tax)と地方税ポータル(eLTAX)の両方に送信しなければ提出が完了しませんでした。
    マイナンバー制度の導入により、地方税ポータルへの電子申告により送信1回で国と地方に提出が可能となります。

終わりに

マイナンバーの記載は、企業の規模の大小に関わらず必要です。企業にとっては、従業員等及び支払先のマイナンバーの収集などの事務手続が必要となります。一方で、収集したマイナンバーには厳重な情報管理が求められており、漏えいの場合には厳しい罰則規定が設けられています。このため、多々ある業務の中で、どの業務がマイナンバーと関係しているかについて検討・準備が必要となります。

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