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コラム2013.4.1

【コラム】平成25年度税制改正大綱(法人税編)

筆者:松田

平成25年度の税制改正大綱が平成25年1月29日に閣議決定されました。今回の税制改正のうち、法人税について特に重要な項目をご紹介します。

設備投資税制

(1)生産等設備投資促進税制の創設

国内の生産等設備投資額を一定以上増加させた場合に、その生産等設備を構成する機械装置の取得価額の30%の特別償却と3%の税額控除が選択適用できる制度が創設されました。

  • 対象となる法人
    青色申告書を提出する法人
  • 適用期間
    平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度を除く)
  • 適用要件
    上記②適用期間内に取得した生産等設備で、適用事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額が下記(ア)及び(イ)を超えること。
    (ア)当期に償却費として損金経理した金額
    (イ)前事業年度に取得した生産等設備の取得価額の110%相当額

(2)中小企業等の設備投資促進税制の創設

商業・サービス業及び農林水産業を含む中小企業等が経営改善に向けた設備投資を行う場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除が選択適用できる制度が創設されました。

  • 対象となる法人
    下記の(ア)及び(イ)の要件を満たす法人。
    (ア)青色申告書を提出する中小企業等※
    (イ)商工会議所、認定経営革新等支援機関等による法人の経営改善及びこれに必要な設
    備投資等に係る指導及び助言を受けていること。
    ※中小企業等とは?
    税制改正大綱では、適用対象者を「中小企業等」としています。現行の「中小企業者等」の範囲と同一であるかどうかは、現段階では明らかではありません。
    【参考:中小企業者等の範囲】
    資本金の額又は出資金の額が1億円以下である法人をいいます。ただし、次に該当する法人は、中小企業者等に該当しません。
    ・資本金の額又は出資金の額が1億円超である一の法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている法人
    ・資本金の額又は出資金の額が1億円超である2以上の法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている法人
  • 適用要件
    平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に、指導及び助言を受けて行う店舗の改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等をして指定事業※の用に供すること。
    (特例の対象となる資産)
    ・器具備品・・・1台又は1基の取得価額が30万円以上のもの
    ・建物附属設備・・・一つの取得価額が60万円以上のもの
    ※指定事業とは?
    指定事業とは、卸売業、小売業、サービス業及び農林水産業(これらのうち性風俗関連特殊営業及び風俗営業に該当する一定の事業を除く)をいう。

(3)環境関連投資促進税制の拡充

環境関連投資促進税制について、その適用期限を2年延長するとともに、即時償却の対象資産にコージェネレーション設備が追加されました。

  • 現行制度
    環境関連投資促進税制は、法人がエネルギー環境負荷低減推進設備を取得した場合に、取得した設備の区分に応じて法人税の税額控除(中小企業者のみ)又は特別償却(即時償却)を選択できる制度であります。
  • 改正案
    現行では、「新エネルギー利用設備等のうち一定の太陽光発電設備又は風力発電設備」について、平成25 年3 月31 日までに取得したものに限り即時償却を受けられるものとなっていましたが、税制改正大綱では対象資産に熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)を加えた上、その適用期限を平成27 年3月31 日までに延長しました。

(4)研究開発税制の見直し

試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)について見直しが行われました。

  • 現行制度
    研究開発税制は、試験研究費の額に応じて法人税の税額控除を受けられる制度であり、制度の主体となる「総額型」と上乗せの時限措置である「増加型」と「高水準型」があります。
    ・「総額型」・・・試験研究費の総額に対して8%~10%の税額控除
    ・「増加型」・・・試験研究費の総額に対して5%の税額控除
    ・「高水準型」・・・売上高の10%を超える試験研究費の額に対して一定の控除率の税額控除
  • 改正案
    「総額型」は、控除限度額の上限が平成23 年度までの時限措置で当期の法人税額の30%となっていましたが、平成24 年度からは法人税額の20%に引き下げられました。
    税制改正大綱は、2 年間(平成25 年4 月1日から平成27 年3 月31 日までの間に開始する事業年度)の時限措置として、この総額型の控除限度額の上限を当期の法人税額の30%に引き上げました。

人材育成・雇用対策

(1)所得拡大促進税制の創設

法人が国内雇用者に対する給与を一定以上増加させた場合、その増加額の10%の税額控除をできる所得拡大促進税制が創設されました。

  • 対象となる法人
    青色申告書を提出する法人
  • 適用期間
    平成25 年4 月1 から平成28 年3 月31日までの間に開始する各事業年度
  • 適用要件
    適用を受けるためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。
    (ア)適用事業年度の雇用者給与等支給額
    ※1 が、基準事業年度※2 の雇用者給与等支給額よりも5%以上多い
    (イ)雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと
    (ウ)平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
    ※1 雇用者給与等支給額とは、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与の支給額をいう。なお、国内雇用者からは法人の役員及びその役員の特殊関係者は除かれる。
    ※2 平成25 年4 月1 日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度

(2)雇用促進税制の拡充

雇用促進税制が拡充され、税額控除額が増加した雇用者数1 人につき40 万円(現行20 万円)に引き上げられます。また、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲が見直されます。

  • 現行の雇用促進税制の適用要件
    ・前期及び当期に事業主都合による離職者がいない
    ・当期末の雇用者数が前期末に比べて5 人(中小企業者等は2 人)以上増加していること
    ・当期末の雇用者数が前期末に比べて10%以上増加していること
    ・前期の給与総額を一定以上上回っていること
    ・雇用保険法に規定する適用事業を行っている
    ・ハローワークに雇用促進計画を提出し、その達成状況の確認を受けていること
  • 適用要件における雇用者の見直し
    現行では雇用者は、雇用保険一般被保険者のみとなりますが、税制改正大綱では、その対象に高年齢継続被保険者※が加わります。
    ※65 歳に達する日以前に雇用されていた事業者に65 歳に達した日以降においても引き続き雇用されている者

中小企業対策

(1)交際費等の損金不算入制度の見直し

平成25 年4 月1 日以後開始事業年度から、交際費等の損金不算入制度における中小法人等※に係る損金算入特例につき、定額控除限度額を800 万円(現行600 万円)に引き上げるとともに、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)が廃止されます。

※中小法人等とは?・・・
期末の資本金の額又は出資金の額が1 億円以下である法人をいいます。
ただし、完全支配関係のある大法人(期末の資本金の額又は出資の額が5 億円以上である法人)に発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されている法人は除きます。

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