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コラム2019.5.1

【コラム】基礎控除の引上げ、給与所得控除の引下げ

筆者:中井 健治

はじめに

基礎控除とは所得税の計算時に総所得金額等から差し引く所得控除の1 つをいい、給与所得控除とは給与所得の計算時に給与等の収入金額から差し引く金額をいいます。平成30 年度税制改正では、特定の働き方だけでなく、フリーランスなど様々な形で働く人を後押しする「働き方改革」の観点から、基礎控除の一律引上げと給与所得控除の一律引下げが行われました。また、基礎控除は所得金額によって逓減し、給与所得控除は上限額が引き下げられました。

基礎控除の改正

  • 基礎控除の引上げ
    現行の38 万円から48 万円に一律10 万円引き上げられます。
  • 高所得者に対する制限
    合計所得金額(注)が2,400 万円を超えると基礎控除額が低減し、2,500 万円を超えると適用を受けられなくなります。
    高所得者に対する制限
    なお、基礎控除の適用に所得制限が設けられたことから、年末調整で基礎控除の適用を受ける場合は、合計所得金額の見積額を申告する等の措置が講じられます。

(注)合計所得金額とは、事業所得、不動産所得、利子所得、給与所得、総合課税の配当所得及び雑所得等を合計した所得金額をいいます。

給与所得控除の改正

  • 給与所得控除の引下げ
    控除額を一律10 万円引き下げるとともに、上限額が適用される給与等の収入金額が850 万円、その上限額が195 万円に引き下げられました。
  • 給与所得控除の引下げ
  • 所得金額調整控除の導入
    (イ)子育て、介護世帯に対する調整控除
    子育て、介護世帯に配慮する観点から、一定の給与所得者については、給与所得控除の見直しに伴い税負担が増加しないように、給与所得控除に加えて、次の金額を給与所得から控除することができます。

子育て、介護世帯に対する調整控除

(ロ)給与所得及び公的年金等に係る雑所得がある場合の調整控除
平成30 年度税制改正では、給与所得控除のほか公的年金等控除も引き下げられています。給与所得と公的年金等に係る雑所得がある場合、給与所得控除と公的年金等控除のの二重で控除額の引下げが行われるため、税負担への影響を考慮して、次の金額を給与所得から控除することができます。

給与所得及び公的年金等に係る雑所得がある場合の調整控除

適用時期

いずれの改正も平成32 年分以後の所得税について適用されます。

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